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研究内容

WORKS

難聴と認知症に関する研究

難聴と認知症に関する研究

平成30年度 老人保健事業推進費等補助金
老人保健健康増進等事業

認知症検査における難聴高齢者に対する音響整備と
聴覚スクリーニング検査に関する調査研究事業

ユニバーサル・サウンドデザイン株式会社

平成31(2019)年4月

Ⅰ.研究の概要

1.研究の目的

高齢の認知症患者の検査において、聴力低下による検査時の影響に関する実態調査を実施し、認知症高齢者に配慮したやさしい地域づくりに向けての調査研究を行う。

2.事業実施の概要

認知症検査における聴力支援ありとなしの場合の検査時の点数への影響を調査する。難聴であった場合の検査時の聴力補助の最適な方法と検査環境における音場の整備を検証する。

Ⅱ.聴覚理解低下が認知機能検査に及ぼす影響に関する実態調査

調査実施者
福岡大学 医学部神経内科学 教授 福岡市認知症疾患医療センター長 副病院長 坪井 義夫 先生
福岡大学 医学部 神経内科学教室 福岡市認知症疾患医療センター講師 合馬 先生
福岡大学病院 神経内科学教室 臨床心理士 井上 琴惠 先生
広島大学宇宙再生医療センター 研究員 中石 真一路

1.目的

本調査では、高齢者における認知機能検査において、聴覚の理解低下が及ぼす影響について検討を行う。

2.実施対象

MCIもしくは認知症と診断された75歳以上の高齢者

3.実施方法

認知機能検査において聴覚理解の困難が見られる被験者に対し、対話支援スピーカー(Comuoon)を用いることによる検査結果の比較を行う。認知機能検査は、Mini-Mental State Test(以下MMSE)を用いた。

4.結果と考察

検査場所は防音のある検査室を用いる。被験者と検査者の距離は約60cm、90度面接法にて施行。
検査者は声の大きさを一定に保つため、騒音計(Meterk社 SLM01)を用い、50dbから60dbの範囲内を保つ。
Comuoonは施行時に被験者の正中に設置するが用途を説明し、移動することが可能であること、耳の近くまで持っていくことが可能であることなども説明する。
Comuoon本体の音のレベルは、検査施行前に被験者と検査者で調整し、被験者が納得する音量レベルにあわせることとする。また、音量レベルは検査の途中で変更することも可能とする。
統計処理は、Student’s t-testで検定し、P<0.05を有意差ありとした。 27例に施行を実施。男性の割合は40.7%。検査時平均年齢は77.3±7.5歳。検査前MMSE 平均値は22.2±3.2点、対話支援スピーカーを用いたMMSE平均値 は24.33±2.4であった。検査前と対話支援スピーカーを用いたMMSEの変化の平均は2.2±2.2点(p<0.01)であった。 検査段階においては聞き返すことなどがないことで、施行時間の短縮ができているのではないかという考察が立てられた。 今回の27例の検査においては、検査時間を施行前と施行後において計測を行っていないため、本検査においては、検査時間を計測することが必要と考えられる。 今回の検査においては、検査間の検査期間は平均4.3±2.1ヶ月。検査期間を同定していなかったため、長い人では半年以上が経過し、聴覚にかかわらず認知機能の低下が示唆されるかたが含まれていた。 認知症は進行性のものであり、調査期間の経過とともに聴覚とは関係なく進行している可能性が示唆される。聴覚が認知機能に与えている影響をみるためには、同一検査を1ヶ月程度の短い期間に設定することが妥当と考えられる。  また、今回の検査においては、認知機能の進行に分けて分析を行っていない。今回の診断においては、軽度から中等度の被験者に検査を行ったが、MCI、軽度、中等度、高度とレベルを分けた中で分析を行うことが必要と考えられる。 MMSEの点数平均値を出すにあたり、認知症の段階における分類も必要であるが、それに加えて教育歴などの背景因も考慮1する必要があると考えられる。 認知症患者の場合、純音検査を活用した難聴レベルの検査は平均15分ほどかかるため実施が難しいと判断している。しかし、戦略的基盤技術高度化支援事業にてユニバーサル・サウンドデザイン社が開発した語音弁別能チェックアプリを活用することで本課題は解決できると判断している。

Ⅲ.資料編1.研究事業体制

研究事業体制

Ⅲ.資料編2.MMSE認知検査 試験装置の構成と試験環境(概要図)

MMSE認知検査

Ⅲ.資料編3.MMSE認知検査 試験装置の構成と試験環境(写真)

試験装置の構成と試験環境

Ⅲ.資料編4.MMSE SCORE

MMSE SCORE

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