近年、生活環境や習慣の変化による耳のトラブルが増えています。耳は24時間365日、音や声にさらされる過酷な状況におかれており、今や世界の若者の11億人に難聴リスクがあるといわれているほど。そんな様々な音にあふれる現代社会において、耳について考えるきっかけになればと開催されたのが本ライブです。

本ライブには8組のアーティストが「音楽が大好きな人たちの耳を守ってあげたい」という想いで集いました。そして耳を大切にするスピーカー「SONORITY(ソノリティ)」を活用することで“誰もが聴こえやすいライブ”を実現。アーティストのみなさんにはライブを披露する際に「耳について思うこと」をそれぞれ語っていただきました。

オープニングでは、弊社代表の中石真一路が登壇。「皆様が日頃から使っているイヤホンやヘッドフォンは気をつけないと難聴を招いてしまう恐れがあります。『難聴』というと福祉だったり障害のイメージがあると思うのですが、実はとても日常的なことなんです。そういったリスクがあるということも、このライブで知ってほしいと思います」と、普段生活している私たちにも難聴の危険性があると語りました。「好きな音楽を聴き続けるには、自分たちの耳を守ることが大切です。アーティストや制作の方々とともにその大切さ を伝えるため、親交の深いドラマーのToshiさんとこのライブを構想しました。Vol.1とし たのは今後も続けていくため」とライブのコンセプトを通したメッセージを改めて伝え、世界初のこのライブを定着させていきたいと意欲を示しました。

トップバッターを務めたのはロックバンドの団長&Kyrie from NoGoD。「我々のライブにも、耳の不自由な方が来てくれるので、視覚的にも楽しんでもらいたいと思い、派手な格好をしている」とエンターテインメントとしてライブを楽しんでほしいと語りました。「いつも耳に優しくない音楽をしているので、今回は耳に優しい音楽をするためにアコースティックでやらせてもらいます」とその見た目とは裏腹に、優しい弾き語りライブを披露。「トップバッターに選ばれたのは、Toshiさんに会場の空気を温めてこいと言われたから」。その言葉通りに、ライブとあわせてユーモア溢れる二人の小気味よい掛け合いがオーディエンスを楽しませました。

スペシャルゲストはシンガーソングライターの麦野優衣さん。本ライブが今年初めてのライブ。「一日中と言っても過言じゃないくらい、ヘッドフォンをつけて音楽の仕事をしています。とにかくずっと音を聴いているので、自分が『この音量心地いい』と思うより少し低めの音量で聴くことを心がけています」と音楽が自らの仕事であるからこそ、耳に負担をかけないよう気をつけていると語りました。ライブではあまり見せないという弾き語りで会場をわかせました。

続くロックバンドのKINGは「ライブのときはスピーカーの爆音がいつも流れているので、このライブをきっかけに私自身耳を大切にしようと思います」と語りました。「耳に優し いライブということで、オファーをいただいたときは趣旨に合っていないのではと思いま した。しかしバンドでの爆音でも優しい音として届くスピーカーを使われているということで、みなさんに思いきり音楽を楽しんでもらえたらと思います」とSONORITYのシステムを最大限に活用したサウンドとともに、奔放なパフォーマンスで観る者を引き込むライブを披露しました。

二人目のスペシャルゲストはヒューマン・ビートボクサーのREATMOさん。以前から弊社代表の中石と親交があるというREATMOさんは「ミュージシャンは耳を使う人間なので、音のプロという観点から耳を大切にしようと投げかけるライブのコンセプトが新鮮でした。みなさんにいろんな知識を知ってもらうのはすごくいいことですし、耳を大切 にするという機会はあまりないので、ライブを通じてみなさんにも意識してもらえたらと思います」と本ライブへの想いを語りました。ライブでは電子機材によるビートボックスや声を重ねていくことで構築する独自の奏法を披露。REATMOさんらしい世界観に満ちたクールなパフォーマンスでした。

次に登場したのはシンガーソングライターの橋本桃子さん。「ドラマーのToshiさんに出会ったときに耳を守るためのスピーカーの話を聞かせてもらってから、耳について勉強するようになりました。以前は大音量で音楽を聴くことが多かったのですが、それからは音量低めで聴き、自分の耳を大切にしています」と本ライブの発起人の一人でもある Toshi Nagaiさんの影響で耳についてたくさんのことを知ることができたと語りました。人の命や自然の美しさを表現する橋本さんの歌とギターは優しく、強く、会場内に響き渡りました。

最後のスペシャルゲストは手話シンガーとして活動する安藤一成さん。「聞こえないから楽しめないじゃなくて、聞こえなくても楽しませたい。中石さんに会ってからその気持ちがさらに強くなりました。これからもたくさんの人を楽しませていきたい」という言葉の後に、安藤さんのお母さまもステージに登壇。安藤さんとともに「耳の聞こえる人と聞こえない人の距離をなくしたい」と手話シンガーとして活動する理由と耳の大切さを語りました。そして補助犬のことを一人でも多くの人に知ってもらうための曲「ほじょ犬って知ってる?」を披露。強い想いをもつ安藤さんの歌は、会場にも私たちの心にも響きました。

ライブもいよいよ終盤へ。転換を終え、ステージに上がったのはGLAYや氷室京介のサポートを長年つとめるドラマーであり、本ライブの発起人でもあるToshi Nagaiさん。ドラムソロを披露すると、Toshiさんのつくり出す力強い音と圧倒的な熱量が会場を包み込みました。演奏を終えると中石とのトークタイムへ。「耳に優しくなさそうな演奏でしたね」と冗談を交えるToshiさんに、「言葉も出ませんでした」と感動冷めやらぬ様子の中石。「僕らがつくった音を、そのままの良い音で聴いてほしい。だからイヤホンをつくりました」と弊社が提供するイヤホン「CLEARNESS EARPHONE」のプロデュースに参画したときの想いも語りました。

アーティストのトリをつとめたのは33(サーティスリー)。ボーカル隼人さん(DuelJewel) 、ギターGAKUさん(FEST VAINQUEUR)、刻さん、ベースSatoさん、ドラム多時さん (ARTiCLEAR)から成る、この日限りのスペシャルバンドです。ちなみに名前の由来は「33＝耳」から。隼人さんは「機能生発声障害」と診断された人気ロックバンドflumpoolのボーカル山村隆太さんの歌唱復帰をサポートしたことでも知られています。「普段は轟音を響かせるほどのライブですが、今回は耳に優しめの曲をもってきました」と優しく情感豊かに歌い上げました。さらにflumpoolの「君に届け」なども披露。渾身のパフォーマンスと歌を届けました

最後はmimifesのテーマソング「SAVE THE EAR」が披露されました。作詞・作曲は、橋本桃子さん。「この『SAVE THE EAR』は、これから生きていく中で耳を大切にしてほしいという想いをまっすぐ曲にしたもの。みなさんの心に残っていけたらと思い、書きあげました」と本曲の制作における強い想いを語りました。そしてライブを行ったすべ てのアーティストが再びステージに上がり、会場にいるみなさんとひとつになって斉唱。一体となった会場ではたくさんの拍手が送られ、ライブを締めくくりました。