

私たちは、自然界の音はもちろん、人間がつくり出した音も含め、音に囲まれて生活をしています。目覚ましの音、携帯の着信音、小鳥のさえずり、テレビから聴こえるアナウンサーの声、子どもたちのはしゃぎ声など、たくさんの音や声が耳から入ってきています。人は音とともに暮らしていると言っても過言ではないと思います。
しかし、高齢化により高齢の難聴の方増えています。またヘッドフォンやストレスなどで難聴になる「突発性難聴」の方も増加傾向にあるとの報告があります。
2011年、前職である新規事業企画としてスピーカーの研究開発に携わったことで、後の運命を変える衝撃的な発見をしました。それは「いま、聴こえることがあたり前と思っている自分」がいるということでした。その気づきは私の父や祖母が難聴であったことも少なからず関係しています。
研究を進めていくなかで、気づいたことがふたつあります。一つは聴こえにくい方々は「聴こえづらいことを語らない」ということ、二つめは話す方も伝えられない辛さがあるということでした。
私はこの気づきから、「伝えたいをあきらめてほしくない」と強く思うようになりました。
2017年4月に米国で開催された米国脳科学関連学会「14th Annual World Congress of Brain Mapping and Therapeutics」および、5月に日本で開催された「第118回日本耳鼻咽喉科学会通常総会・学術講演会」において広島大学宇宙再生医療センター 聴覚リハビリテーションで研究グループでの研究成果を発表しました。
以前より「クリアな音の大切さ」をお伝えしつづけてきましたが、2015年より広島大学宇宙再生医療センターにて研究をすすめていた、脳科学の観点から脳における言葉の聞き分け状況などを検証し、comuoonのように高い明瞭度を保つスピーカーシステムは、一般的なスピーカーと比較して一次聴覚野の脳磁場応答が増大し言葉を識別しやすいことが明らかになりました。
本研究成果については、米国神経学関連誌「Neuroreport」に2017年8月に掲載されて高い評価をいただいています。
これまでの聴こえ支援は「きこえにくい人が努力する」という方法でした。 私は話す側からも『あゆみ寄れる』新しいアシスティブ・メソッドを世界初となる卓上型対話支援システム「コミューン」により提案し「聴こえる、伝わるよろこび」をお届けしてきました。
世界的に超高齢化社会を迎える中、難聴は認知症のリスクファクターでもあることが様々な学会でも発表されたことで、世界が注目する大きな課題です。『コミュニケーションをあきらめない』ための技術革新をつづけ、世界の人々のQOL(Quality of life) クオリティ・オブ・ライフに貢献したいと考えています。
ユニバーサル・サウンドデザイン株式会社
取締役ファウンダー/聴覚カウンセラー/ジェロントロジスト
中石 真一路