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comuoon開発ストーリー -小型アンプ編-
comuoon(コミューン)開発ストーリー -小型アンプ編-
2013年よりcomuoonの開発に携わった
佐賀県・吉野ヶ里町に工場を構える、佐賀エレクトロニックスさま。
同社の林社長に当時の様子を振り返っていただき、
開発に至った経緯や苦労したことなど、様々なお話を伺いました。
出会いのきっかけ。
中石社長と初めてお会いしたのは、2013年の5月頃。弊社の親会社である新日本無線の紹介がきっかけでした。と言うのも、同社は「MUSES(ミューズ)」という高級オーディオに使われているIC(集積回路)を開発しており、ユニバーサル・サウンドデザイン(以降USD)さまの製品にも、そのICを導入していただいていたんです。当時の私たちは、自らが得意とする半導体ビジネスが衰退していく中で、長年にわたって蓄積した技術やノウハウを活かせる新たなビジネスを模索していました。一方で中石社長も、当時comuoonの開発が難航しており、「良い音」を作れる新たな開発会社を探していました。偶然にも、お互いの求めるものが一致したんですね。それで後日、社長に当社の技術力や持っているノウハウをプレゼンテーションさせていただきました。プレゼンが終わると社長は開口一番「御社のできることはよくわかりました。是非一緒にやりましょう!」と即決。通常こうしたプレゼンテーションを行う際は、改めて後日にお返事をいただくケースが多いため、「え、もう決められるんですか?」と大変驚きました。それが私たちと中石社長が一緒に仕事をすることになった経緯ですね。
開発ミーティングで直面した難題。
その翌月、当時のUSDさまのオフィスで、第1回目の開発ミーティングがスタート。そこでは弊社を含むメーカー計6社が集まり、開発について様々な議論が行われました。弊社が担当したのは、ドックと呼ばれる土台の内部。「良い音」を出すのはもちろん、決められたドックのサイズに収まる回路基板を開発するのが私たちのミッションでした。と言うのも、開発途中のcomuoonはこの回路基板サイズが大きく、その影響でドック部分も、comuoon本体も想定のサイズをオーバーしてしまっていたんですね。その他にも、放熱設計やコスト調整、検証サイクルのコントロールといった課題が山積み。こうした開発の仕事は、基本的にトレードオフ(一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ない状態・関係のこと)なんです。例えば、「音質を良くすると本体が大きくなる。本体を小さくすると音質が悪くなる。その両方を解決できても、コスト面で問題が生じる」と言った具合に、全てが相反する特性を持つものを、いかに最適化するかが悩みどころでした。最初のミーティングでこうした難題が浮き彫りになりましたが、私たちには自信がありました。理由はふたつあります。ひとつは中石社長という存在。とにかく情熱に溢れていて、困難を切り拓く力を持っている。さらに長年にわたって「音」を研究されてきた方なので、確かな「耳」も持ち合わせている。それで「この人となら絶対にこの壁を乗り越えられる」と強く思いました。もうひとつは、私たちの経験則。一般的に「良い音」を作るのは、理論則と実験則に加えて、経験則が欠かせません。私たちは「MUSES」をはじめ、部品、回路、基板パターンなどの様々な技術を持っているのですが、その中には長年の経験則が凝縮されています。中石社長というキーマンと私たちの経験則。このふたつがあったからこそ確かな勝算を感じ、自信を持って開発に取りかかることができました。
comuoon試作機の検証。
開発をスタートしてから早4ヶ月。記念すべき第1回目の検証は、佐賀県庁で行われました。その日のことはいまでも忘れられません。集まったのは、弊社の開発チームと中石社長、そして難聴者協会に所属するご高齢の方々。早速、難聴の方にcomuoon試作機を体験していただいたところ、「20年ぶりに音が聴こえました」と涙を流されたんですね。その方は、20年前に脳梗塞で左耳の聴力をほとんど失ってしまったそうで、「音が聴こえる」ということが信じられないご様子でした。すると今度は、ノートテイキング(聴覚が不自由な方のためにノートをとる活動のこと)で同行されていたボランティアの方々も次々と号泣。彼らは、いままでうまく会話ができなかった難聴者の方々が筆談を使わずに会話をする姿を見て、思わず涙が溢れてきたそうです。私たちも感動のあまり、一緒に泣いてしまいました。このとき、「早くこういった難聴で困っている方々に、comuoonを届けるんだ!」という想いが一層強くなりました。私たちがcomuoonという存在に手応えと希望を感じた瞬間でしたね。
待望のcomuoonが完成。
その後も、日本全国いろいろな方のもとへ足を運び、とにかく検証と試行錯誤を繰り返しました。音質の向上やボードの調整、コストの見直しなど、外部の様々な協力会社を巻き込んで、開発チーム一丸となって必死に頑張りました。そして計4回の検証を経て、とうとう12月にcomuoonが完成。開発チーム誰もが仕上がりに納得していたので、「これは聴こえのバリアフリーの大いなる一歩を踏み出した」と確信しました。その後、社内にcomuoon専用の研究室と製造ラインを作り、いまも人の手で一つひとつ丁寧に作っています。現在の生産量だからこそ人力でまかなえているという面もありますが、comuoonは人の想いを届けるものなので、私たちが気持ちを込めて「手作り」することが大切だと感じています。また、弊社は半導体を製造しているので、comuoonのように製品の最終形を目にする機会は滅多にありません。あくまで部品を作っているので、できあがったものが社会にどう貢献しているかが実感しづらい。でも、comuoonはテレビで紹介される機会も多く、自分たちの仕事がどのように役立っているかがわかります。製造スタッフからも「社会の役に立ててうれしい」「comuoonの製造を担当するようになってから、さらに仕事にやりがいを感じるようになった」といった喜びの声が上がっています。弊社の理念にある「社会の一隅を照らす存在感ある企業」の通り、私たちは大きな会社になりたいのではなく、社会のために役に立つ会社になることをめざしています。comuoonはまさに、弊社が探し求めていた希望そのものなんですね。
これから先、めざすもの。
いま現在も、いろいろなタイプの新型comuoonを開発中ですが、最終的なゴールとしては持ち運びができる装着型のcomuoonを考えております。使用できる範囲が広がるほど、聴こえのバリアフリーも広がっていくと思うんですね。正直、私はcomuoonの開発に携わるまでは、障害を持った方々の気持ちをわかっているつもりでいたのですが、実際は全くわかっていませんでした。きっと世の中には、そういった方がたくさんいらっしゃると思います。だからこそ、これからは障害を持った方々が本当の意味で健常者と共生できる社会を作っていかなければなりません。そのためにも、私たちはもっともっと聴こえについて研究し、さらに便利なcomuoonを開発していきます。これからcomuoonがどのように進化をしていくのか、楽しみにしていてくださいね。
佐賀エレクトロニックス株式会社 代表取締役社長
林 力
Chikara Hayashi
1985年、佐賀エレクトロニックス株式会社に入社。その後、技術部長および製造部長を経て、2011年に同社取締役佐賀製作所長に就任。2015年6月より現職。
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